眼鏡型の拡大鏡による見え方－視力・老眼等を矯正できるものではありません－

　拡大鏡とは、手の届く程度の距離にあるものをレンズで拡大して見る道具で、中には眼鏡のように着用して両手が自由に使えるタイプのもの（以下、「眼鏡型の拡大鏡」とします）があります（写真参照）。

　2015年度以降、PIO-NETには、眼鏡型の拡大鏡を使用しても明瞭に見えない、表示倍率どおりに拡大されないなど、眼鏡型の拡大鏡による見え方に関する相談が419件寄せられており、60歳代以上からの相談が9割を占めていました。この中には着用したまま歩行して転倒し、骨折をしたなどの危害事例もありました。

　そこで、一定の期間中に販売されていた眼鏡型の拡大鏡25銘柄をテスト対象とし、眼鏡型の拡大鏡による見え方の特性などについてテストを行い、消費者へ情報提供することとしました。なお、表示倍率が複数販売されているものは表示倍率1.6倍前後のものをテスト対象としました。

• 全銘柄とも、焦点距離は25～51cmと手の届く程度の距離であり、焦点距離以上に離れたものは明瞭には見えませんでした
• 光学上の拡大倍率は表示倍率とほぼ一致していました

• 全銘柄とも、眼鏡型の拡大鏡をかける前後で同じ距離のまま使用しても、表示倍率どおりには拡大されて見えませんでした。表示倍率どおりに拡大して見るためには、眼鏡型の拡大鏡をかけた上で、その位置から観察対象との距離を縮める必要がありました

• テスト対象銘柄の光学中心間距離は48～72mmとさまざまで、瞳孔間距離（高齢群男性の平均が64.4mm、高齢群女性が61.1mm）よりも長いと眼精疲労や複視等が起きる可能性がありました

• インターネット通信販売で購入した銘柄のうち5銘柄には、商品のパッケージや取扱説明書に銘柄名、製造または販売者名のいずれも記載されていませんでした
• インターネット通信販売で購入した銘柄のうち6銘柄には、商品のパッケージや取扱説明書に注意表示等がありませんでした
• どのようにしたら表示倍率どおりに拡大して見えるようになるのかが明確に記載されている銘柄はありませんでした
• 眼鏡型の拡大鏡は、手の届く程度の距離を見る作業等に適していますが、遠くを見る際に使用しているイメージが添付されているものが2銘柄ありました

• 眼鏡型の拡大鏡は、手の届く程度の距離にあるものを拡大して見るための商品で、着用したまま歩行等をするためのものではありません。また、眼鏡型の拡大鏡をかける前後で同じ距離のまま使用しても、表示倍率どおりに拡大されて見えません。これらを理解した上で、購入を検討しましょう
• できる限り、購入前に想定する使用方法・時間に沿って試用して使用感等を確認し、自分の眼や使用目的に合った眼鏡型の拡大鏡であるかを確認しましょう。また、眼や見え方に異常を感じた場合は使用を中止しましょう
• 屈折異常や老眼等がある状態で、眼鏡型の拡大鏡を使用してはっきりと拡大して見るためには、眼鏡等で矯正した上で眼鏡型の拡大鏡を使用する必要があります。それでも異常を感じたら、まずは眼科医の診察を受けましょう

• 販売されている眼鏡型の拡大鏡の光学中心間距離は銘柄によりさまざまでした。商品のパッケージや取扱説明書等に光学中心間距離を記載することを要望します
• 表示倍率どおりに見るための方法等が消費者に明確に伝わるような表示を要望します。また、消費者が適切な商品選択ができるよう、購入前に試用して使用感を確かめることを促す旨の表示をするよう要望します

• インターネットショッピングモールで購入した銘柄の中には、パッケージや取扱説明書に銘柄名や事業者名が、販売サイト上に注意表示等の表示がない銘柄がありました。銘柄名や事業者名のほか、適切な注意表示等をするよう、出品者への周知をお願いします

• アマゾンジャパン合同会社（法人番号3040001028447）
• ヤフー株式会社（法人番号3010001200818）
• 楽天株式会社（法人番号9010701020592）

• 消費者庁（法人番号5000012010024）
• 内閣府　消費者委員会（法人番号2000012010019）
• 厚生労働省（法人番号6000012070001）
• 経済産業省（法人番号4000012090001）
• 公益社団法人日本通信販売協会（法人番号9010005018680）
• 日本チェーンストア協会

（国民生活センターホームページより引用）

※詳しくは、下記の国民生活センターホームページをご覧ください。
眼鏡型の拡大鏡による見え方－視力・老眼等を矯正できるものではありません－（外部サイトへリンク）
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20210204_1.html